徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

特別な食物を摂取した時、短時間の後に不利益な症状が現れるのが食物アレルギーです。食物アレルギーには軽い蕁麻疹のような症状から、生命に関わるアナフィラキシーショックのような重症なものまであります。最近も小学校給食で乳製品を誤食して子どもが死亡する例がありました。

学校や保育園での給食による食物アレルギーの取り扱いが問題になっています。今月は食物アレルギーについて考えてみました。

食物アレルギーは特定の人が特定の食物を摂取した時に全身におよぶ症状が発生するものです。ある食物を食べた人全員に症状が発生する場合にはアレルギーとは言いません。 食物アレルギーの症状は皮膚、呼吸器、消化器、粘膜、循環器、神経系など全身の臓器に発生する可能性があります。アレルギー症状が多くの臓器に同時に出現する場合をアナフィラキシーと言います。

食物アレルギーの中でも即時型アレルギーと呼ばれるものはその食物を摂取して2時間以内に症状が現れます。この反応は特定の食物に対してIgE抗体が産生されて発生することが多く、食物を経口摂取した場合以外でも、皮膚に付着した時や粉末を吸入して食物抗原が体内に侵入した場合に発生します。

これらの食物アレルギーの診断には食物の特異的IgE抗体を測定することが一般に行われますが、IgE抗体が陽性であってもその食物を食べてアレルギー症状が出ない場合があります。IgE抗体が強い陽性を示す場合には、原因食物の確定のために経口負荷試験が行われます。経口負荷試験は安全に配慮した上で専門医の元で行うことが必要です。