徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
人の生活は昼間を中心に行われますから活動に必要な循環、呼吸、代謝、内分泌などの機能は昼間の覚醒中に活発になり、睡眠中には低下します。これらの生理機能は睡眠・覚醒リズムの変化に同調して24時間周期のリズム、即ちサーカディアンリズムを示します。
環境リズムの基本は地球の自転による24時間周期の明暗の変化のリズムです。夜明け前に気温が最も低くなる時、人の代謝活動も低下しますから、呼吸や循環機能も低下し、体温も最低になります。ACTHやコーチゾールなど活動に必要なホルモンの分泌は明け方に増加して、昼間覚醒中の活動の準備が着々と整いつつあります。
生体リズムが環境リズムから大きく解離すると、生存条件として大変不都合な状態になります。夜勤や勉強、遊びや不摂生で昼夜が逆転する生活が続くと、単なる睡眠不足だけでなく生理的な機能に問題が生じます。
昼夜の逆転など環境リズムとの解離が続くと、体内では睡眠と体温のリズムの解離や睡眠と内分泌リズムの解離が起こり、体調を維持することがはなはだ困難な状態になります。その結果、精神的、肉体的な不調を生じます。
このような生体リズムの異常は、精神的にも肉体的にも発達途上にある子どもたちに及ぼす影響が大人に対する影響よりもはるかに大きくなることが想像されます。
子どもたちを取り巻く環境の変化の中で、スマホ、ネット、ゲームなどによる夜更かしは生体リズムに大きな影響を及ぼします。未熟な子どもたちにとって睡眠や生体リズムはとても大切なことです。