「本場で女踊りを究めてみせる」。のんき連の竹野愛梨さん(22)=北島町中村、会社員=は昨年、埼玉県越谷市から単身で徳島に移り住んだ。毎日、アパート自室の四方に置いた鏡の前で稽古してから夜間練習へ。メンバーのレベルの高さを感じながら、納得のいく踊りを追い求めている。
踊り一家に生まれ、2歳で父公教(きみのり)さん(51)の勤務先の連に入った。日本三大阿波踊りの一つ「南越谷阿波踊り」に毎年出演し、家族4人で男踊りを披露していた。
小学6年の時、公教さんがファンというのんき連のDVDを見て衝撃を受けた。踊り出す際、勢いよく足を上げる「のんき調」の女踊りが何としなやかなことか。「こんな踊りをしてみたい」。所属連に頼んで女踊りに転身した。
その後、のんき連の追っかけとなった。夏の本番はもちろん、春の祭典「はな・はるフェスタ」や阿波おどり会館の公演で年2、3回は徳島へ。連のメンバーとも親しくなった。
2016年4月、20歳で念願ののんき連入り。夜行バスを乗り継ぐなどして月1回、必ず練習に顔を出した。17年5月、高校卒業後にアルバイトでためた貯金を元手に徳島に移住した。
踊りに没頭できる喜びを感じつつ職探しを始め、飛び込みで受けた自動車販売店の入社試験に合格。平日の昼間は車のセールスにいそしみ、それ以外は各種公演などで踊りに明け暮れている。
踊りを始めてちょうど20年の節目となる。本番には両親や、かつて越谷で所属した連の仲間が駆け付ける。「阿波踊りに魅せられ、踊るために徳島に来た。頑張っている姿を見てもらい、みんなを喜ばせたい」。眼鏡の奥の瞳が輝いた。