居酒屋やバー、レストランなど数多くの飲食店が軒を連ねる高松市随一の繁華街・古馬場。ライオン通りのアーケードに面したビルの2階で飲食店「賀千」を営む。客のリクエストに応じて占いもする。
落ち着いた雰囲気の店にはこだわりの焼酎や日本酒、ウイスキー、ワインがずらりと並ぶ。なじみの客が多く、大手企業の重役や支店長らも訪れる。店を1人で切り盛りしながら「人との出会いや会話が楽しい。徳島出身のお客さんも多いんよ」と笑顔を見せる。
三好市山城町寺野で生まれた。高校を卒業後、高松市の琴電商事に就職した。その後専業主婦となり、2人の子どもが手を離れたのを機に、「働いて自立しよう」とデパートや料亭で接客を学んだ。2001年5月に一念発起して飲食店を開店する。
「多くの友人や知人が手伝ってくれたからオープンできた。世間知らずで客商売なんて無理と思っていたけど、周囲の人に支えられて今がある」と感謝を忘れない。月曜から金曜まで毎晩、午後7時から午前0時まで店に立ち続ける。
モットーは「何事も挑戦する勇気を持つこと」。入れ替わりの激しい飲食業界で開店から15年目を迎える。「山奥から出てきて純粋な気持ちでやってきたのが良かったんかな」と話す。
高松に住んで40年。香川県在住の徳島県出身者でつくる阿讃クラブの活動にも積極的だ。今でも古里山城町には3カ月に1回、長女(35)の車に乗って両親の墓参りに帰る。全国的に有名なパワースポット、賢見神社の近くで野山を駆け回って育った。パワフルな阿波女は「賢見さんに力をもろうとるけん、元気で頑張れるのかもしれんね」と目を輝かせた。
きたさこ・しげこ 三好市山城町出身。政友小、山城中、愛媛県の高校を卒業し、1975年琴電商事に入社。その後、デパートや料亭勤務を経て2001年5月に高松市古馬場で飲食店を開店した。同市室町で1人暮らし。58歳。