徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 肥満は消費カロリーに比べて摂取カロリーが過剰な時に、余分なカロリーが脂肪として体内に蓄積されたものです。肥満だけでは有害な症状が見られることはありませんが、肥満は動脈硬化進展のリスク因子になることが知られています。肥満による将来の生活習慣病を予防することが大切です。

 軽度から中等度の肥満では必ずしも健康障害が生ずる訳ではありません。しかし肥満が高度になると、体脂肪の量や分布に異常を来して様々な健康障害の原因となります。

 特に問題になるのは高血圧、睡眠時無呼吸などの肺換気障害、2型糖尿病や耐糖能障害、腹囲の増加や内臓脂肪の蓄積などです。睡眠時無呼吸症候群が合併すると日中の眠気が強く、頭痛や集中力・学力の低下などが見られます。糖尿病の発生では口渇、多飲、多尿が見られ、脂肪肝による肝障害が発生すれば倦怠感や右上腹部の不快感などが見られます。頸部の黒色表皮症はインスリン高値を反映する重要な所見と言われます。腹部の紅赤色の皮膚線条は急激な腹囲の増大を示す徴候です。さらに肥満による自尊心の低下や不登校も大きな問題になります。

 このような明らかな症状がなくても、生化学的な検査値に異常がある時には十分な経過観察や管理が必要となります。とくに肝機能の異常、コレステロール高値、中性脂肪高値、インスリン高値、HDLコレステロール低地、尿酸高値などに注意します。

 肥満に気付いた時には体重の変動に注意し、適切な食生活を心がけ、運動の習慣をつけ、規則正しい生活を送ることが大切です。