3、4年前、幹部による不祥事が相次いだ徳島県漁業協同組合連合会(県漁連)。1期3年間、信頼回復に取り組んだ松下有宏前会長からバトンを受けた。引き続きコンプライアンス(法令順守)を徹底するとともに「県漁連や漁協は漁業者のための組織でなければならない」と原点回帰を目標に掲げる。
漁師になって40年。阿南市の椿泊漁協に所属し、はえ縄漁でタチウオやハモ、サワラなどを追った。漁獲量が多いことに加えて魚価も高く、羽振りのいい漁師が少なくなかったが、20年ほど前から状況が変わった。デフレ基調となり魚価が低迷。燃油や資材が値上がりし、漁に出ても赤字となる日が増えた。
漁師たちの苦境は身をもって知っている。「少子化の中、このままでは後継者を確保するのは難しい」と危機感は強い。
漁師を支える漁協も経営基盤が弱体化している。「状況打開には合併を進めるしかない」と力説。ただ「長年、培われてきたそれぞれの浜の文化があり、簡単ではない」とも。2014年7月の阿南中央、中島両漁協合併以降は具体的進展が見込める合併案はない。推進に向け、「共同漁業権を持つ漁協でまとまることができるよう働き掛けていきたい」と話す。
全国漁業協同組合連合会(全漁連)と連携し、漁村の活性化や漁業者の所得向上につなげる「浜の活力再生プラン」の実践や燃油のコスト安定対策にも力を入れる考えだ。
休日は漁具の手入れや餌の入手に忙しく「趣味はない」。捕れた魚を自分でさばき、孫に届けるのが唯一の楽しみという。阿南市椿泊町東で妻と2人暮らし。59歳。
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