徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 高度の肥満はそれだけでも重篤な症状を伴うことがありますから治療を急ぐ必要があります。軽度から中等度の肥満ではほとんど症状が見られませんから、高度肥満に進行しないように注意を喚起します。

 肥満の治療の原則は、摂取カロリーの減少と消費カロリーの増加です。摂取カロリーは年齢や身長を参考にして算出した標準必要カロリーを適切に摂取することを目標にして極端な制限は行いません。

 乳幼児期や学童期の子どもたちは毎日成長して身長が伸びますから同じ体重に維持するだけでも肥満度は下がります。従って多くの子どもたちの肥満は適切な食事を摂ること、規則正しい睡眠と適度な運動をすることで健康的な生活を送るように指導するだけで改善する可能性があります。

 しかし思春期になると身長の伸びが鈍りますから同じ体重に維持するだけでは肥満度が改善することありません。思春期の肥満は成人期に持ち越すことが多く、将来の生活習慣病予防のためには子どもの頃から対策をとることが求められます。また乳幼児や学童の肥満を思春期に持ち越さないことも大切です。

 子どもの肥満治療にあたっては、子どもや家族に肥満によって発生する健康障害について注意を促します。肥満児には間食が多いこと、テレビを見ながら食べること、食べ過ぎること、運動習慣がないこと、テレビやゲームの時間が多いこと、運動が苦手なことが多いことなどの特徴が見られます。健康を維持するために規則正しい生活、適切な運動や食事の習慣を身につけることを心がけます。