大阪に事務所を構え、税務の専門家として企業や個人からの相談、納税事務などに携わっている。顧客の大半は中小零細企業で厳しい経営状況のところが少なくない。

 「税理士は企業の税務申告や決算をこなせば良いのではない。企業の意識改革を助けて、業務改善につなげることが本来の仕事だと思う」

 「社会はそう甘くない。厳しい世界で生き残っていくには人一倍努力しなければならない」。美馬市の山間地で生まれた。幼いころから家業のたばこ栽培を手伝い、農業で生計を立てていく苦労を肌で感じてきた。

 「自分に何ができるだろうか」。中学生の時に自らを問い、こう決意する。「資格を取って身を立てよう」。下宿をしながら高校に通い、卒業後は大阪市内の会計事務所に勤めた。仕事の合間を縫って夜間の大学で学び、大学院まで進んだ。2001年に税理士登録し事務所を設けた。

 長年の業務の中で心掛けているのは「企業に元気になってもらうこと」。その持論は「中小企業が育たないと日本が元気にならない」。12年に中小企業庁から経営革新等支援機関に認定され、積極的に中小、零細企業の経営を支えている。

 経営改革に向けた方策は随時、本にまとめる学びと実践の人。今月には第4集となる「新・厳しい経済情勢下でいかにして成果(結果)を出し続けるのか」を編んだ。「前日と同じことを続けても未来は開けない。本は企業経営のヒントにしてもらえればうれしいですね」と話す。

 故郷を離れて長くなるが、毎朝ベランダに立ち、徳島の方角に向かって合掌するという。「田舎は落ち着くし、帰りたいという思いもありますよ。ただ、今は事務所を法人にするという目標に向けて全力を尽くすだけです」。

 たにがわ・かつのぶ 美馬市穴吹町出身。阿波商業高(現阿波西高)、大阪経済大を経て、大阪学院大大学院修了。本は自費出版で問い合わせは<電06(4861)5137>。大阪市在住。66歳。