徳島一の米どころを抱えるJAアグリあなんの組合長から、JAグループ徳島のトップに就いた。「行政や県内の15JAと連携しながら、農業と農村の活力を取り戻したい」。気負うことなく農業再生への一歩を誓う。
「何事も挑戦と改革は尽きない」が持論だ。アグリあなんでも、木頭ゆずの輸出や米価低迷を受けた米の生産方針見直しなど、県内JAの中で積極的な取り組みが目立った。政府が主導する農協改革も「時代の流れとともに組織が変わるのは当たり前」と前向きに受け止める。農業生産拡大、農家所得向上、担い手育成を3本柱に、「時代の要請に合った改革をしていきたい」と力を込める。
近畿大農学部を卒業後、旧桑野農協に入り、主に販売畑を歩んだ。農家が手掛けた農作物をより多く、より高い値段で売ろうと取り組んできたが、最近はその使命を果たすのが難しくなってきたと感じる。激しい安値競争を展開する大手スーパーが価格の決定力を持つためだ。
販売の世界は「最終的に人対人」と言う。卸売業者やスーパーと渡り合い、さまざまな販路を開拓できるセールスマンを養成していく考えだ。
交渉に参加して2年たつ環太平洋連携協定(TPP)の7月中の合意が現実味を帯びている。「これまでも節目、節目に首を突っ込んできた。与えられた試練と思っている」と腹をくくった。
元高校球児で、30歳まで休日は草野球をしていた。今は「孫と遊ぶのが楽しみ」。阿南市山口町中コソの自宅で、妻、長男夫婦、孫2人と6人で暮らす。64歳。