徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 社会性の発達が遅れ、コミュニケーションも取りにくく、こだわりが強い子どもが居ます。このような特徴を示す子どもを発達障害と言います。発達障害には主として自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害の3つの疾患があります。これらの子どもたちは集団生活を送る上でとても困難を感じています。学校や社会の中で問題を起こすこともあります。今月は発達障害について考えてみました。

 発達障害の中でも自閉症は早期に診断をつけて普通の生活が送れるような配慮する必要があります。
 
 自閉症の子どもは一見正常に見えるために、周囲からさぼっているとか、努力が足りない、わがままである、しつけが出来ていないなどと誤解されることがあります。

 自閉症の原因はわがままやしつけの問題ではなく、脳の器質的または機能的な発達の異常による病気と考えられます。

 最初に記載された自閉症は、人との意思疎通がほとんど見られず、こだわりがきわめて強く、優れた記憶力、常同行動、オウム返しの言語など、特有の症状を示す児童でした。
 
 その後、共感能力の欠如に加えて、一方的な会話や特定の興味への没頭、ぎこちない動作などが見られる小児が報告されました。

 さらに知的に問題のない高機能自閉症が存在することも明らかになりました。
 
 自閉症は当初、養育環境の不適切による心理的な原因が疑われたこともありましたが、最近は脳の器質的または機能的な発達の遅れ、発達障害がその本態であることが明らかにされました。