徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
自閉症には知的な遅れや言葉の発達には遅れのないものがありますが、すべての自閉症には社会性の発達に遅れがあり、コミュニケーションをとることが難しく、想像したり予想したりすることがとても苦手です。
これらの子どもたちは聴いて理解することが苦手ですから、口頭指示されたことをすぐ忘れ、自分では分かったつもりになっています。他に気になることがあると指示が通らないことや、複数の指示に従うことが出来ないことなどが見られます。
見て理解することにも問題があり、見えていても認知していないことや自分との関わりを感じていないことがあります。視線が合わないことや追視ができないこと、一部しか見ていない、図形が理解できない、人の認識が出来ないことなどが特徴です。
言語の使用についても、一方的に話すことや、無意味な言語を繰り返すこと、暴言をはくこと、たびたび話題を変えること、おしゃべりを我慢できないことなどが見られます。
実行機能の問題としても、複数のことを処理できないこと、整理整頓ができないこと、環境の変化に対応できない、周りの刺激や環境に深く考えずに反応して、待つことや考えることが苦手で、こだわりを持つなどの特徴があります。
周囲のことを理解する力にも問題があります。人の気持ちを察するのが困難で、場の雰囲気をつかみにくい、妥協しない、関心のないことには知識や常識が低い、共感性が乏しい、冗談や皮肉がわかりにくい、相手の表情が読めないことなどが特徴です。