学長がリーダーシップを発揮しやすいよう、学部の改組や学校施設の再配置といった大学改革をスムーズに進めていくための環境整備に全力を挙げる。法学部の学生や大学院生に週当たり9コマ(計約14時間)の授業をこなしながらのハードワークだ。
「18歳人口が激減する時代に優秀な学生を多く集めるには、学校の魅力づくりを常に進めていく必要がある。学内の意思決定の仕組みを見直すガバナンス(統治)改革も含め、各学部の教授会から出される意見を尊重しつつ、制度改革への理解が得られるよう努力しています」
憲法学者として、参院で審議入りした安全保障関連法案は「違憲」だと明確に異を唱える。「これまでの政府見解を大きく超えるものであり、解釈変更で法制化を進めることは憲法上許されません。集団的自衛権行使を制度化したいのなら、憲法改正によって国民の意思を問わなければならない」
憲法を取り巻く環境が厳しさを増す中、憲法を専門に学んだ者として「多くの人に憲法の意味や目的を共有してもらえる取り組みを進めていきたい」と力を込める。
少子化や若者の流出で人口減が急速に進む古里の将来も気掛かりだ。「美しい自然、おいしい食べ物、そして暮らしやすさという点では、徳島は四国で一番だと思います。ただ、そうした地域の特長をうまくPRできていない」と残念がる。
「地方でいてもインターネットと宅配便があれば何でも手に入る時代です。そこで重要なのは『暮らしやすさ』を徹底的にアピールすることではないか」と指摘し、定年後にUターンを考えている人や都会で暮らす若者らに「徳島で生活する方が、合理的で快適だと思えるような仕組みづくりを急いでほしい」。
はしもと・もとひろ 三好市出身。池田高校、中央大法学部卒。中央大大学院法学研究科博士後期課程修了。法学博士。高知県立高知女子大(現高知県立大)教授、2004年から中央大教授。中央大法学部長、中央大理事を務め、14年11月から現職。著書に「近代憲法における団体と個人」(不磨書房)、「表現の自由 理論と解釈」(中央大学出版部)など。東京都日野市在住。56歳。