人口増加や資源の枯渇で、人類の存在が脅かされている。だから英国の物理学者スティーブン・ホーキング博士は生前、各地に赴いて「人類の未来は宇宙にある」と講演で訴えた。この先100年が重要で、個人の宇宙旅行を可能にする技術が将来の鍵だ―とも
貴重な鍵にと期待しよう。東京のベンチャー企業が、一般の人向けの宇宙旅行計画に挑む。実現目標は9年後というから、そう遠くない
高度100キロ超の宇宙空間との間を行き来する、というのが差し当たっての旅程。3、4分間の無重力状態を楽しむのが目玉企画という。ホーキング博士が唱えただけあって、宇宙旅行の民間計画は各国で競い合うように進む。日本では他に愛知県のベンチャー企業が挑戦中だ。どれも大資本が支援する国家事業級である
本県では、徳島大大学院が宇宙食の研究開発拠点を設置した。宇宙環境に起因する疾患を防ぐ食品を編み出す。宇宙旅行の必需品になるかもしれない、意味ある事業だ
宇宙プロジェクトは夢とロマンが人を引きつける。だが時に苦々しさもへばりつく。文部科学省で次々と発覚している汚職事件。その一つは、巨額の宇宙開発関連予算を最終的に狙っていたとされる
不届き千万な悪行は、宇宙の大爆発「ビッグバン」で吹き飛ばせないものか。博士が泉下で嘆いていよう。