背番号10を背負う次男怜(れ)央(お)投手のグラブに最終打者が打ち上げたボールが収まった瞬間、「よしっ」と小さく手をたたき、頂点に立った喜びをかみしめた。「強豪相手に、練習の成果を十分発揮してくれた。よくやったという一言に尽きる」と、激闘を終えたナインをたたえた。
ピンチは早々に訪れた。一回表、ヒットとエラーで走者を得点圏に進めてしまい、先制点を与えた。「2、3点取られても不思議ではない場面」。それでも指示は出さず試合を見守った。自慢の堅守で追加点を与えず、元気にベンチへ戻る選手たち。大舞台でも物おじせず躍動する姿を見て、優勝を確信した。
こども野球のつどいの最高成績は、30年前のベスト4。当時、父泰明さん(68)が監督を務め、自身がエースで4番だった。二代続いての「親子鷹(たか)」。次男たちがチームに新たな歴史を刻んだ。「ずっと優勝が目標だった。怜央は選手として自分を超えたし、自分は監督として父を超えることができた」
高校野球の経験を生かし、チームを率いて7年。地域とのつながりを大切にしてきた。グラウンドには清掃やボール拾いをする住民の姿がある。そんな中、時には選手を厳しく叱ることも。「礼儀正しく、人の意見をよく聞き、自分の考えを持てる子どもになってほしい」との思いからだ。
「熱く真剣に子どもと向き合う」が周囲の評。専門的な言葉をかみ砕き、分かりやすく指導する。「勝つことを通して野球の楽しさを伝えたい」
那賀町にある鮮魚店二代目の42歳。同町和食郷で両親と妻、長男、長女、次男の7人暮らし。
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