徳島を元気にする事業アイデア・プランコンテスト「とくしま創生アワード」の最終審査会が27日に徳島市で開かれる。本年度は2部門に計46件、小中高大学生対象の「ひらめき賞」に39件の応募があった。書類審査を通過した9組と学生賞1組、ひらめき賞優秀賞の3組が最終審査会に臨む。本年度からサポーターに加わった徳島県出身の起業家3人に、応募アイデアやプランの感想、事業を起こす際のポイントを聞いた。
実績やデータから説得力高める
(株)フィット代表取締役 鈴江崇文さん
事業を進める上で、社会性があり収益性もあるという両輪を意識している。新規性や持続性といった評価基準を含め、審査でもそういったポイントを重視した。他方、何もせず批判する人が多い中、とくしま創生アワードに応募して、挑戦の一歩を踏み出した人たち全員に拍手を送りたい。
新規事業のアイデアは、やりたいことのビジョンを持って常にアンテナを張り、海外や異業種の取り組みに触れたりニュースを見たりするところから生まれる。それに着想を得て、自分の事業に取り入れてみることから成功に結びつく事業は少なくない。
プランの実現可能性を高めるには、行動することが大事。小さな実績や裏付けになるデータ、権威ある専門家の言葉などが付け加えられていれば、「絵に描いた餅」にならず説得力が増す。まずは実際にやってみることを勧めたい。
プレゼンはストーリーが重要
(株)電脳交通代表取締役社長兼CEO 近藤洋祐さん
しっかりと考えて事業を作っている、質実剛健な人が多い印象を持った。また会員制交流サイト(SNS)などで活動を目にする人たちが応募していて、徳島で起業家のコミュニティーが育っていると感じた。起業がより身近になったのではないか。アワードなどの取り組みや情報発信によって、自ら価値を生み出すプロセスに注目が集まり始めていると考える。
成長して雇用を増やし、税金を納めて誰よりも徳島に貢献したいという自分自身の思いも含めて、その可能性や規模が大きいビジネスモデルは評価したい。プレゼンテーションでは「現在ある市場や製品をこのような状態にすると何円ぐらいの売り上げがあって課題解決につながる」といったストーリーが重要だと思う。地域を元気にするためにも、向こう3年で売り上げが1億円を超えるようなビジネスを期待したい。
どんなアイデアもまず具体的実験を
Arithmer(株)代表取締役社長兼CEO 大田佳宏さん
レベルが高く、いくつかはこのままの状態で銀行や投資家から出資を受けられそうだと思った。その中でも社会的にインパクトのあるプランを選んだ。投資家は社会課題の解決にどう結びつくかに注目しているという。売り上げや利益率も大事だが、社会をどう良くしていくのかを評価した。
世界的に、日本は災害や少子高齢化の先進国と見られていて、解決のための手だても進んでいると捉えられている。応募の中には、こういった課題を踏まえて計画を立てているものが多く、うまくいけば徳島発の世界的な代表事例になる可能性があると感じる。
どんなアイデアも、まずは具体的に実験して定量的な評価や反応があるかを試してみることが大切。一歩踏み出して失敗か成功か、仲間が増えるかを試し、誰かが賛同してくれる小さい種を増やしていくイメージで取り組んでほしい。
27日に最終審査会、オンラインで公開
徳島を元気にする事業アイデア・プランコンテスト「とくしま創生アワード」の最終審査会は27日午後1時半から、徳島市のパークウエストンで開かれる。一般の観覧はオンラインのみで行い、当日の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」で中継する。詳しくは創生アワードの公式ホームページ(https://www.topics.or.jp/list/award)に掲載される。2次元コードからもアクセスできる。
◇最終審査会は「起業家万博」と、学生を対象にした「起業家甲子園」(ともに総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構主催)の地方大会を兼ねる。優秀者は四国地区代表として全国大会に選抜される。