香川県内で屈指の医師陣と設備を誇る高松市中心部の拠点医療機関・高松赤十字病院で小児科の部長を務める。毎日、小児科の医師8人とともに外来や入院患者ら数十人の子どもたちを診察。地域医療の中核を担う2次救急病院として24時間体制で急患にも対応している。「より高度な医療を受診するため、1次病院から紹介されて来る患者が多い。できるだけ多くの子どもを助けたい」と語る。
小児内分泌代謝科の専門医でホルモン異常などが引き起こす症状の診察に当たる。目立って増えているのが小児生活習慣病だ。高血圧や肥満、脂質異常症と診断され、糖尿病を発症する子どもも少なくない。原因について「子どもの生活スタイルが変わり、外で遊ばなくなっていることが大きい」と指摘する。予防にはバランスの取れた食事が不可欠だが「過度な食事制限をする必要はない。大事なのは汗を流し運動すること。筋肉をつければ基礎代謝が増して無駄な脂肪は減る」と話す。
5歳で父親を亡くし、母子家庭で育った。地元の中学校を卒業して城南高校に進学。母親の勧めで医師を志し、猛勉強を続けた。徳島大医学部に入学し、子ども好きだったことから小児科医を選んだ。
座右の銘は泰然自若。「医者がバタバタしたら患者の不安は増す。どんなに重症の患者でも冷静に診察し、平常心で処置できるよう心掛けている」と強調する。担当医として治療してきた子どもが回復し、「先生、ありがとう」と笑顔で言ってくれることが何よりの喜びだ。
香川県三木町で徳島市出身の妻、次男と3人暮らし。養父が暮らす鳴門の実家に2、3カ月に1回は墓参りを兼ねて帰る。「古里の水と空気が一番。鳴門は新鮮な魚や、なると金時があって食べもんがおいしいけんなあ」。
さかぐち・ぜんいち 鳴門市鳴門町三ツ石出身。鳴門西小、鳴門中、城南高から1978年に徳島大医学部卒業。小児科専門医として徳島大病院、麻植協同病院に勤務。滝宮総合病院小児科医長、さぬき市民病院主任医長を経て2011年4月から現職。医学博士。香川県三木町在住。61歳。