阿波っ子たちが指折り数えて待ったこの日がやって来た。徳島市の阿波踊り(市観光協会、徳島新聞社主催)の開幕を夕方に控えた12日午前、阿波おどり振興協会の流し踊りが市中心部であり、「ヤットサー」の掛け声で踊り子たちは一斉に街へ繰り出した。目抜き通りを流れ行く「踊りの大河」が観光客を出迎え、祭りムードは一気に高まった。
午前10時前、高らかな鉦の音が夏の雨空を駆け昇り、ぞめきのリズムが徳島駅前に響き渡った。協会所属16連から選ばれた踊り子や鳴り物約150人の心はたちまち浮き立つ。
2年連続で女踊りの最前列を任された、のんき連の青山美優さん(19)は「この瞬間を待っていた。今年も完全燃焼したい」と気合をみなぎらせる。
あでやかな女踊りを先頭に、勇壮な男踊りが後に続く精鋭たちの集団美。新町橋ではアマチュアカメラマンが踊りの列を取り囲み、黒山のような人だかりができた。兵庫県尼崎市から訪れた鹿野優さん(70)は「子どものころに見た阿波踊りの写真を撮りたくて久しぶりに徳島に来た。流し踊りも本当に美しい」と喜んだ。
阿波踊りは午後5時半から市役所前演舞場で開幕式。15日までの4日間、徳島の街が踊り一色に染まる。