阿波踊りの渦の中、笑顔で“完結”を迎えた徳島発ロックバンド・チャットモンチー。ラストライブとなったアスティとくしまでの「こなそんフェス2018」2日間の模様を、チャットモンチーのステージを中心にリポートする。

こなそんフェス2018 初日のオープニングに登場したチャットモンチーと小籔千豊さん(撮影:上山陽介)

 【こなそんフェス2018 初日】

 チャットモンチーが完結する。アスティとくしまには朝から多くのファンが訪れ、開演前からグッズ売り場には長蛇の列ができ、早々に売り切れとなる商品も。徳島の特産品による飲食ブースもにぎわい、阿波和紙を使ったちぎり絵アートやちょうちんタワーの前では記念撮影する人だかりができた。お祭りムード一色で、午後1時の開演を迎えた。

 奥田民生さんら、チャットモンチーと親交のあるアーティストが次々にステージを彩る。観客の盛り上がりが最高潮に達したころ、初日の最後の出演者としていよいよチャットモンチーの2人が登場した。

 拍手と歓声で迎えられた福岡晃子さんと橋本絵莉子さんが「みんなありがとう」と応える。会場からの「おかえりー!」の声には、2人で「ただいまー!」。福岡さんは「初日ヤバいね、最高ですね。みんなが喜んでる顔がよく分かった!」と話し、ライブがスタートした。

 最初に奏でたのは「きーっきょん きーっきょん」というメロディー。エフエム徳島のために書き下ろしたわずか10秒のジングルを初めて生演奏で披露すると観客が沸く。2番「♪やんりょん こなそんフェス2018」を披露して、会場の雰囲気が和らいだところで、2人は助っ人ドラマー「こやびん」を呼び込んだ。

小籔さんと共演(撮影:上山陽介)

 チャットモンチー大阪支部のドラマーと紹介されたのは、吉本新喜劇座長の小籔千豊さん。疾走感のあるナンバー「風吹けば恋」と「真夜中遊園地」を続けざまに3ピースで奏でると、息の合ったパフォーマンスに会場は手拍子で応える。大きな拍手が送られる中、小籔さんは「最高なところ悪いですけど、僕は悲しいです。ドラムの途中で2人に振り返ってもらう風景ももう見られへんと思うととても悲しいです。皆さんはどうぞ盛り上がって」とチャットモンチーの“完結”を惜しみながらステージを去る。

 小籔さんの言葉を受け、福岡さんは「一番最悪の日やって(笑)。悲しんではいられませんよ!」と明るい声で話し、終始笑顔で進める。橋本さんが新たなドラマーを「たみちゃん」と呼ぶと、奥田民生さんがドラムセットに乗って登場。徳島の人には懐かしさを感じる「阿波の狸まつり」のCMソング「阿波の狸」をコミカルに奏でる。曲中の阿波弁のせりふを、奥田さんが独特の抑揚に苦労しながら語ると歓声が上がった。奥田さんがプロデュースしたチャットモンチーの楽曲「コンビニエンスハネムーン」を演奏した後、観客の手拍子に送られ、ドラムをたたきながら明るく退場した。

チャットモンチーのステージでドラムをたたく奥田民生さん(撮影:古溪一道)

 続いて登場したドラマーは、デビューまもないころに苦楽を共にした仲間のバンドから。シュノーケルの山田雅人さんとはデビュー曲「ハナノユメ」を、Base Ball Bearの堀之内大介さんと初期の人気曲「恋の煙」を奏でる。

 福岡さんが「うちらの思い出のアルバムみたいになってるやん」と話す。シュノーケルとBase Ball Bearとは2006年から3年間「若若男女サマーツアー」を一緒に回った同僚のような存在。ステージ上に3バンドがそろい、当時の思い出の曲「今夜はブギー・バック」をカバーした。

 最後は「みんなが聴きたい曲を3バンドみんなで奏でよう」と、チャットモンチーの代表曲「シャングリラ」。そこにBase Ball Bearの小出祐介さん(ギター&ボーカル)が、「チャットモンチーは辞めても若若男女は辞めてないもんね」と、チャットモンチーの元ドラマーの高橋久美子さんを呼び込んだ。

3バンドがそろってステージで演奏(撮影:古溪一道)

 ステージに現れた“くみこん”は既に泣き腫らしていて、福岡さんと橋本さんが笑顔で「おかえり!」と出迎える。会場からは「おかえりー!」の大歓声。ドラムセットも高橋さんが使っていた当時のまま。高橋さんのキックでおなじみのリズムを刻むと、会場から大きな手拍子が鳴り響く。久しぶりの共演とは思えない息の合った演奏を目に焼き付けようとするファンは、橋本さんの「みんな歌って!」の声に大合唱で応える。

 

高橋さんを加えた3人のチャットモンチーが1曲だけ復活(撮影:上山陽介)

 「みんなありがとう!チャットモンチーでした」と橋本さん。1曲だけ復活した3人のチャットモンチー。演奏を終えた福岡さんが「皆さんに見届けてもらえて幸せです」と語り、会場が一体感に包まれたままライブを終えた。

 続く阿波踊りでは、蜂須賀連のステージの後、踊りの衣装に着替えた2人が自身の踊り連「かもし連」を率いて踊り込む。観客席の間を練り歩いて一緒に踊り、笑顔のまま初日の幕を閉じた。

客席に踊り込んだ「かもし連」(撮影:上山陽介)