徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載) 

 発達障害の中には自閉症、注意欠陥・多動性障害(注意欠如・多動症)ADHD、学習障害の3疾患が含まれます。今月は不注意や多動性、衝動性を特徴とする注意欠陥・多動性障害ADHDについて考えてみました。
 
 ADHDの子どもたちは衝動的で落ち着きがなく、授業に集中できなかったり、不注意でボーっとして、呼びかけられても気づかなかったりします。幼い子どもが走り回ったり不注意であったりすることは当たり前ですが、年長児になってもこのような症状が持続する場合には社会生活を営む上で大きな困難を感じます。早期に正確な診断をつけて適切な対応を取ることで子どもたちや家族の悩みを軽くすることが出来ます。
 
 ADHDは最初、微細脳損傷という病名で報告されました。後に微細脳機能障害という概念に修正されました。その後、多動性や不注意という行動が注目されて多動症、注意欠如症候群などと呼ばれるようになって、現在のような注意欠陥・多動性障害と診断されるようになりました。
 
 ADHDの症状は誰にでも見られる個性です。ただしこのような目立つ症状が年齢不相応に長く持続することや、家庭でも学校でも多くの場面で同じように症状が見られる場合には社会生活や友人関係に問題が生じます。また ADHDの症状は年齢と共に多動性が減少するなどの変化が見られますが、成人になっても不注意が持続して生活の困難さや不自由さが持続することがあります。子どもの時に適切な指導や治療を受けることで支障のない一生を送ることが出来る可能性があります。