阪神大震災から20年。今年も神戸市の被災者らでつくる「みなと神戸連」が14日、徳島市の演舞場に踊り込んだ。温かい声援への感謝、犠牲者への哀悼。節目の年を迎えた連員39人はさまざまな思いを胸に、力いっぱい手足を運んだ。
「踊りは神戸、神戸」。市役所前演舞場で声を上げた飯田圭介連長(72)=神戸市、税理士=は節目の乱舞に「徳島の人たちの支えがあったからこそ続けてこられた」と感慨深げに語る。
震災翌年の1996年、税理士仲間と徳島に踊り込んだのを機に、飯田さんは「明るい気持ちになれば」と同年10月に連を結成した。97年に徳島へと繰り出したときのことを鮮明に覚えている。桟敷から「震災乗り越えてよう来たな」「頑張れよ」と声援が飛んだ。「感動した。踊っている間は皆つらいことを忘れられた」。以来、毎年欠かさず参加してきた。
5年前に入連した寺崎明さん(61)=神戸市、税理士=は、自宅で就寝中に大震災に見舞われた。屋根が崩れ落ち、身動きできないところを近所の人に助け出された。
だが隣家の50代夫婦は自宅の下敷きに。自らも救出に当たったが既に冷たくなっていた。「20年たってもあの日のことは決して忘れない。犠牲者への鎮魂の祈りを込めて踊った」。吹き出る汗を拭いながら口にした。
19回目の舞台を終え、飯田連長は「来年も元気な姿を見せたい」と、満足そうにほほ笑んだ。