オレンジカリフラワーを収穫する山田さん。仕事が休みの日を上手く利用して畑仕事に精を出す。

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じわじわ人気が出てきている「四川アーサイ」。子持ち高菜とも呼ばれ炒め物や天ぷらにすると絶品。

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【農業】豊花農園
山田貴美さん(53・藍住町出身)

 四川アーサイ、ロマネスコ、アレッタ、オレンジカリフラワー…、山田貴美さんの畑を歩くと珍しい野菜があちこちに。「テレビやネット、SNSなんかで知らない野菜を見つけたら、どんな味なんだろうって気になって。とにかく食べてみたいんです」。種を取り寄せ、農業の大先輩である母・豊栄さん(78)と一緒に試行錯誤しながら栽培。ここ10年、少量多品種でいくつもの野菜に挑戦している。「美味しかったら翌年も継続。面積が限られているので、不味かったら辞めて新作物のスペースに。もうこんなん作られんでよって母にも言われますしね(笑)」。こうして年間約20品種を栽培している。

 貴美さんは農業関係の仕事をする会社員でもある。日々生産者と関わるなかで農業の高齢化を痛感し「栽培や収穫にあまり手間がかからない野菜を提案したい」と考えるように。まずは自ら栽培してみようと珍しい野菜に目を向けるようになった。同時に「虫や鳥たちが好んで食べる。そんな野菜を作りたい」と無農薬栽培にも取り組む。「大切にしているのは旬。大地に根を張って大地から栄養を吸収する。旬の野菜が一番美味しいし、旬の野菜を知ってほしいと思う気持ちもあります。何より食べて“美味しい”って笑顔になってほしい。野菜でみんなを笑顔にしたいんです」と力を込める。

 新たな試みとして、昨年11月から商品にならなかった野菜を動物園へ提供し始めた。「これまで廃棄野菜は土に戻してたんですが、もったいないなとずっとモヤモヤしてて。自分が動物好きというのもあるし、活用してもらえて良かった」と安堵する。

 今後、毎月14日を「豊花デー」として、お客さんに畑で好きな野菜を収穫してもらえるよう計画中だ。