One sec.(ワン セカンド)
西條賢人さん(23・阿南市出身)
西條香さん(23・阿南市出身)
今やすっかりお店選びの手段の一つになった、インスタグラムのハッシュタグ検索。「#徳島カフェ」や「#徳島ランチ」…そんなタグを辿っていると「徳島カフェ男子」の投稿に行き着いたことがある人も多いのではないだろうか。2022年末時点でのフォロワーは1.4万人と、徳島随一の規模を誇るグルメアカウント。カフェのメニューを中心に、県内の飲食店情報を日々発信している。このアカウントの“中の人”である西條賢人さん。発信、そして会社勤めの傍ら、自身も妻の香さんとともにカフェ「One sec.(ワンセカンド)」の営業を始めた。
「人を笑顔にする仕事がしたい」と、小さい頃から飲食店を開くのが夢だった賢人さん。その夢は退職後の50、60歳で叶えるつもりで、ふだんは会社員として働き、休日にカフェ巡りを楽しんでいた。当初はいち趣味として、行ったお店の情報を個人のインスタグラムアカウントに投稿していたが、あるとき友人に「せっかくなら専用のアカウントを作ってみたら?」と提案された。「いつか自分たちのカフェをオープンしたい。グルメ情報を発信しつづけたら、たくさんの方々に知ってもらえるのではないか」。そう考え、2021年7月に「徳島カフェ男子」のアカウントをスタートした。
昨年2月、小松島市の「cafe/shop MINATOHE」を訪れ、居合わせたお客さんとの会話の中で「将来カフェを開きたい」と夢を伝えた。すると、カウンターでその話を聞いていたマスター、井上嵩規さん(27・徳島市出身)が口を開いた。「僕も同じくらいの歳で似たようなことを思っていたので、過去の自分を見ているかのよう。できることがあればなんでも言ってください」。そこから店に通いつめるようになった西條さん。4月からは月に数回カウンターに入り、コーヒーの知識や淹れ方、振る舞いや接客を井上さんの背中から学んだ。
準備を重ね、11月から「One sec.(ワンセカンド)」を始動。現在は店舗を持たず、県内のイベントやレンタルスペースに出店している。ロゴのモチーフは砂のない砂時計。「1秒でも長くここにいてほしい」 「時間を忘れてゆっくり過ごしてほしい」 という想いを込めた。「嬉しいことがあったとき、辛いことがあって落ち込んでいるとき。どんなときでも、ここに来ると元気になって『次の日から頑張ろう !』と思えるような、みなさんの日常に寄り添える場所でありたいんです」。
コーヒーは、徳島市内の店舗を持たない焙煎所「WEEKEND ROASTER」の豆を使用。オリジナルブレンドは、中深煎りで豆の華やかさを残しつつ苦味を引き出したエチオピアを軸に、カッピングで夫婦2人の好みが一致したブラジルとコロンビアを合わせた。スイーツは香さんが担当。イベント出店ではクグロフケーキやチャンククッキーなどの焼き菓子、月に1回ほど「CAFE SPACE / GUEST HOUSE DARUMA」(阿南市)で行うポップアップカフェでは、苺のミルフィーユやとろけるバスクチーズケーキ、自家製プリンなどのイートインメニューも提供する。
「これまで顔を見たことがなかったフォロワーさんたちが会いに来てくれて。直接話せるのがすごく嬉しいんです」と香さん。賢人さんも「カフェを始めることを発表したら、たくさんのフォロワーさんが応援してくれて、足を運んでくれて、中には『なんでもするけんな !』と言ってくれる人もいた。最初は自分を知ってもらうために始めたインスタグラムだったけど、今は皆さんに恩返しがしたいです」と感謝を口にする。これから、よりたくさんの人にワンセカンドを知ってもらうべく、県内各地のイベントに出店予定。2024年内の実店舗オープンを目指して一歩ずつ進んでいく。
>>Instagram
徳島カフェ男子 @tokushima_cafedanshi
One sec. @cafe_onesecond