徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
 
 注意欠陥・多動性障害ADHDは不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。
 
 ADHDの子どもたちは推測力や理解力、計画力などが弱く、今何をしようとしているのか、何をしなければならないのか理解が悪いとされます。さらに自己コントロールが弱く、今やってはいけないと思っても、自制しにくい所があります。また状況分析や状況判断が不得意で判断力も弱いとされます。作業記憶が弱く、何度も何度も同じことを繰り返して言います。しかし自閉症と違って他人とのコミュニケーションが取りにくいとかこだわりが強いと云うことはありません。
 
 衝動性や不注意のために家庭内や社会の中で失敗が多く、叱られてばかりいたり、いじめられたりすることが日常的になると、このような失敗体験が心理的なトラウマになったり、叱られすぎてうつ状態になったりすることがあります。さらにこれが進むと社会的な不適応に至ることもあります。
 
 そこでADHD児に対しても自閉症児と同じように早期に正確な診断をつけて適切な対応をとり、治療を受けることが大切です。
 
 ADHD児は注意が散りやすいので必要な指示や指導、説明は明確に出すようにします。また周囲を片付けて不必要な物を置かないようにします。生活リズムを守って規則正しい生活を心がけます。
 
 ADHDの症状があっても家族や本人がそのために不都合だと感じていない場合には個人の性格であって、治療の必要はありません。発達障害の子どもたちが不都合を感じない環境が個性的な人間に望ましい社会です。