山の斜面にキャンプ用のテントが立ち並んでいる。1967(昭和42)年、鳴門市の大毛島に期間限定で設けられたキャンプ場を撮影したものだ。
4人用テントが41張り、8人用テントが19張り。それぞれベッドが備えられており、敷地内にはレストラン、売店、シャワー場、駐車場もあった。利用料は2600~5000円で、物価が今の4分の1程度だった当時としてはけっこうな額。今でいうグランピング(設備の行き届いた快適なキャンプ体験)のはしりのようなものだったようだ。
場所は国立公園内の松林。景観と環境保護のために設けられた自然公園の最上位に位置する公園区域で、今なら開設は認められないだろう。
高度成長期のまっただ中、人々の生活に余裕ができて車社会が到来し、道路が整備された。豊かな自然を楽しめる観光やレジャーを売りに、乱開発が進んだ時期でもある。自然公園法がほぼザルだったとも言え、そのツケと開発重視の思想がいまだに尾を引いているとはいえないだろうか。