三好市山城町の景勝地・大歩危峡で遊覧船やホテルを運営する「大歩危峡観光遊船」で、7月から通訳などを務めている。「最高の思い出をつくってもらい、リピーターを増やしたい」と、国内外の観光客に持ち前の笑顔を振りまく。
日本を好きになったのは大学時代。観光で訪れた京都で右往左往していたら、通り掛かりの人が道案内してくれた上、お勧めスポットまで教えてくれた。「相手を思いやる心は台湾人より断然上」と感激。すぐに日本語学校に入り、度々日本に足を運んだ。徳島は日本一周に挑戦した26歳の時に初めて訪れ、鳴門の渦潮や大歩危峡、祖谷渓などを巡り、自然美に圧倒されたという。
台湾の旅行会社に勤めていた昨秋、転機が訪れた。両親との旅行で観光遊船を訪れた際、経営者の大平克之さん(60)昌代さん(57)夫妻が台湾の旗を振って出迎えてくれた。「こんなに情熱を持って接してくれるとは」。夫妻の温かい人柄に引かれ、無料通信アプリLINE(ライン)でやりとりするようになった。ある日「日本で働きたい」と打ち明けると、大平さんは「うちで良かったら」と即答してくれた。
日本の生活にもすっかりなじんでいる。毎日のように買い物や食事に誘ってくれる観光遊船のスタッフ、台風が近づいた時に「困ったら何でも言って」と気遣ってくれた近隣住民…。「三好市の人はみんな温かい。ここに来て本当に良かった」
大歩危峡の夜景や妖怪文化などをフェイスブックで発信しており、興味を持った台湾の友達が遊びに来た。10、11月にも別の友達が来てくれる予定だ。
旅行はもちろん、読書も大好き。作家宮部みゆきさんのファンで、著書は全て持っている。30歳。