鳥居龍蔵は、海外、特に東アジアの広大な諸地域を駆け巡ったフィールドワーカーとして著名だが、日本国内の調査も活発に行った。そのような中でも、沖縄は鳥居にとって特別な思い入れがあった地域だ。

 彼は晩年、自叙伝「ある老学徒の手記」を残した。大半は、数多くの海外調査で起きたエピソードで埋められているが、国内調査の数少ないエピソードの一つとして「私と沖縄諸島」の項目も含まれていて、彼の沖縄への関心の高さがうかがわれる…