練習でノッカーを務める城東野球部マネージャーの永野さん=同校グラウンド

練習でノッカーを務める城東野球部マネージャーの永野さん=同校グラウンド

練習でノッカーを務める城東野球部マネージャーの永野さん=同校グラウンド

練習でノッカーを務める城東野球部マネージャーの永野さん=同校グラウンド

選手と同じようなマメがある永野さんの手のひら=城東高校グラウンド

選手と同じようなマメがある永野さんの手のひら=城東高校グラウンド

 憧れの聖地で初めてノックを打つ女子野球部員になるかもしれない。3月に開幕する第95回記念選抜高校野球大会に21世紀枠で出場が決まった城東高校野球部のマネジャー永野悠菜さん(17)。「甲子園に連れて行くから」と幼なじみに誘われて入部し、部員数の少ないチームのため手にまめを作りながら守備練習でノックバットを振ってきた。試合前のノックを打った経験はないが、「甲子園なら1球くらいは打ちたいな」と笑顔で本番の日を待っている。

 「あと1本」。出場決定から翌々日の29日、同校グラウンドにノッカーを務める永野さんの大きな声が響いた。内外野でグラブを構える選手に向かって次々と鋭い打球を打ち分ける。森本凱斗(かいと)主将(17)は「マネジャーは単なるサポート役ではなく、同じチームメイト。みんな頼りにしている」と信頼を寄せる。

 城東高進学が決まった2年前、幼稚園以来の幼なじみで徳島中学校でも同級生だった森本主将に「マネジャーになってほしい」と誘われた。中学ではオーケストラ部に所属してファゴットを担当し、運動部の経験は皆無。不安はあったが、幼なじみがいる安心感もあって入部を決意した。

 ある日、練習でノックを担当した部員から「自分は一本も受けられなかった」という話を聞いた。マネジャーの自分を含め13人の小所帯。「自分がノックを打てるようになれば全員が守備練習できる」と考えた。

 昨年4月から新治(しんじ)良佑監督(34)に教わり、ノックの打ち方を練習し始めた。当初はボールが当たらないどころか重いバットを振るだけでも四苦八苦。両手に何度もまめを作った。新治監督も「正直続くのか不安はあった」と話すが、それでも「夏の大会までに先輩の3年生にノックを打ちたい」とネットに向かって黙々とバットを振り、6月下旬には立派にノッカー役を果たすようになった。

 マネジャーの仕事も怠らない。練習開始の1時間前から部員のドリンク作りや道具出しなど手早く準備。帰宅後は疲れてしまうため、勉強時間は朝早く起きて確保する。出場決定の吉報を聞いて「努力が認められた」と涙をこぼした永野さん。森本主将は「やると決めたら何事も最後までやり抜く人だから」と、野球部に誘った理由を改めて明かした。

 大会事務局は女子マネジャーが甲子園でノックをすることについて「申し出があれば今後検討する」との立場を示している。永野さんは晴れ舞台での大仕事に期待を膨らませつつ、「まずはナイン全員が万全の調子で甲子園の土を踏めるよう、サポートしたい」と気持ちを引き締めている。

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