ふるさとワーキングホリデーを活用して飲食店で働く岡西さん。仕事を通じて地域住民とつながりを持てたと話す=2022年12月、三好市市池田町

ふるさとワーキングホリデーを活用して飲食店で働く岡西さん。仕事を通じて地域住民とつながりを持てたと話す=2022年12月、三好市市池田町

 都市部の若者らに働きながら地方暮らしを体験してもらう、徳島県の「ふるさとワーキングホリデー」事業の参加者受け入れが三好市など県西部で盛んだ。口コミなどで人気が高まり、2022年度は21人が来県し、想定の20人を初めて上回る見通しだ。一方、県西部以外に若者の受け入れ先はなく、どのように確保していくかが課題となっている。

 事業は、長期休暇などに2週間~1カ月程度滞在し、働きながら住民とも交流して地方の魅力を知ってもらう狙い。徳島に関心のある若者を増やして将来的な移住につなげる。県が総務省の事業を活用し、19年度から始めた。事業費は年約500万円で、毎年20人程度の参加を目指している。20年度は新型コロナウイルス禍で中止した。

 県から業務委託された企業が受け入れ先となる事業者の募集や、応募した若者とのマッチングを担う。応募者獲得に向けた広報活動にも取り組む。22年度は三好、美馬、東みよし3市町の飲食、宿泊など13事業者が、22年7月ごろから募集を開始。1月中旬までに7都府県から14人が参加した。残る7人も2月末までに来県する予定だ。

 22年12月1~20日に三好市の宿泊施設や飲食店に勤めた岡西未来さん(22)=奈良県出身、慶応大=は、高知県のワーキングホリデーで一緒に働いた同僚から徳島を勧められた。「田舎が嫌で都会の大学に進学したけど、人間関係が冷たく感じた。地方は人の距離が近く、ぬくもりがあるのが魅力だと改めて感じた」と振り返る。

 21、22年度に事業を受託した、地域活性化事業を行う株式会社Fobs(フォブス、三好市)の西村耕世代表取締役(42)によると、就労期間終了後に再び徳島を訪れる参加者もいる。「コロナ禍で地方の暮らしに関心を持つ人は増えた。移住する可能性もあるのではないか」と手応えを示す。

 一方、若者の受け入れ先は県西部に偏っている。7人が参加した19年度は県西部2、県東部2、県南部1だったが、13人が来県した21年度と22年度は全て県西部。県とくしまぐらし応援課は「県全体で受け入れ、関係人口を構築するとともに若い人との交流による地域活性化につなげたい」とする。

 ふるさとワーキングホリデーは徳島市も21年度から実施。21年度は保育人材に対象を絞り、1人が利用した。22年度は藍染、木工事業者が15人を受け入れる見通し。