つるぎ町出身のロックシンガーBILLY(ビリー)さん=東京都在住=が、14日深夜に神奈川県のクラブチッタ川崎で行われたプロレスと音楽のコラボイベントで、プロレス初参戦にして勝利を収めた。未知のジャンルへの挑戦をやり遂げたビリーさんは、徳島新聞の取材に「プロレスラーとして初めてリングに立てて、一流の選手と勝負するという貴重な体験ができて満足している」と充実の表情を浮かべた。
イベントでは、プロレス6試合とミュージシャン7組のライブを交互にオールナイトで行った。
ビリーさんは、ミュージシャンとしてライブステージの一番手も務めたのに続き、プロレス5試合目に登場。ダブルメインイベントの第一試合「電流爆破新アイテム持ち込み自由+棺桶(かんおけ)爆破+電流爆破バット(2本)エニウェア6人タッグデスマッチ」で、リッキー・フジ、花畑正男の両選手と組み、ミスター・ポーゴ、怨霊、マスクド・ファイヤーの3選手と対戦した。相手選手を棺桶に入れて爆破した時点で勝利となる。
ビリーさんは開始早々から体格差のある巨漢のポーゴ選手に場外戦へ持ち込まれ、パイプ椅子で殴られるなど劣勢が続く。しかし、ポーゴ選手が鎖鎌に爆薬を巻いた新アイテム「電流爆破鎖鎌」を振り下ろすと、辛うじて椅子で防いで直撃を回避した。
立て直したビリーさんはポーゴ選手の攻撃をかわしつつ、怨霊選手らを蹴り技主体で攻め立てた。ポーゴ選手の電流爆破バット攻撃で意識もうろうとなる局面もあったものの、味方の援護を受けて「電流爆破ラリアット」をファイヤー選手に食らわし、棺桶にぶち込むことに成功。ファイヤー選手をかばおうと棺桶の上にかぶさったポーゴ選手をビリーさんが電流爆破バットで殴ると、同時に棺桶が爆破され、約15分の激戦に終止符を打った。
「ミュージシャンという色眼鏡で見られる部分もあったけど、単なる茶番で終わらせるつもりはなかった」とビリーさん。試合について「一流レスラーの攻撃はすごかった。所々意識が飛んだ場面もあったけど、歯を食いしばって反撃していった。よく体がもったなと思う」と振り返る。ウエートトレーニングによる肉体改造が効を奏して、打ち身や切り傷、やけどを負ったが軽傷で初試合を乗り切った。
試合後、大仁田厚選手やリッキー選手ら多くのレスラーから「華があるし、センスもある」と絶賛された。引き続き試合への出場を期待されているものの、ビリーさんは「この一戦に懸けてきたからこそ、ノリだけで『次も』と簡単には言えない」と明言を避ける。その上で「試合を見た人からまた見たいという声が上がって、自分にとっても状況が整うならば考えたい」と語った。
一方で、早くも次の目標を見据えている。既に自身が監督、脚本、主演を務める映画「BUGS」シリーズの第3弾にして完結編の製作に向けて、脚本作りに着手しているという。「今年は映画製作の準備と平行し、新型コロナウイルス禍の影響で休んでいた音楽活動も本格的に再開させる。今後も皆さんが目を離せないような活動を続けていくので引き続き注目してほしい」。ビリーさんの挑戦は終わらない。(植田充輝)