従業員の子育て支援に成果を挙げた企業に厚生労働省から付与される「くるみんマーク」の最高位「プラチナくるみん」を、中四国の企業で初めて取得した。「従業員が自ら考え、実践してきたこと」とその努力をたたえる。
経営する「松本コンサルタント」は地籍調査などを行う測量設計会社。1971年の設立からしばらくは女性従業員が数人しかおらず、文字通り「男の職場」だった。
製図のコンピューター化などを背景に、平成に入ったころから女性従業員が増え始め、会社説明会では子育て支援制度の質問が女子大生から寄せられるように。「時代の流れ。男女の区別なく働きやすい職場環境の整備が求められている」。そう強く感じた。
2010年、男性従業員の育児休暇取得や残業時間削減などの目標を定めた社内の行動計画を策定したのを機に、13年にくるみんマークを取得。その後、総務部門などからの提案で最高位のプラチナくるみんを目指すことになった。
取得するには男性の育休取得率13%以上、出産後1年の女性在職率90%以上などハードルが高い。ためらいはあったものの、社是は「積極」。従業員の努力を信じた。配偶者の出産時には育休の取得を促し、その分の仕事は全員でカバーする。結果として男性の育休取得率は80%を超えた。
経営者らでつくる県倫理法人会で、講師から聞いた言葉が印象に残っている。「仕事も大事だが、家族も大事。家庭円満なら仕事が充実する」。職場を見渡すと、その意味を実感する。
04年1月、父親から引き継いで同社社長に就任。徳島市北常三島町2の自宅で妻と暮らし、社会人の長男と大学生の長女は県外に住む。56歳。