徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
寒くなると鼻水が出て咳や熱を伴う「かぜ」ひきの患者さんが増えてきます。このような患者さんには当たり前のように「かぜ」と診断をしていますが、「かぜ」とはいったいどのような病気なのでしょうか。今月は小児科外来でよく見られる病気「かぜ」について考えてみました。
「かぜ」をひいた時には暖かくして十分な水分と栄養を取って安静にしていると自然に治ります。熱があってもそれ程高熱でなければ、2~3日で自然に下がります。このような「かぜ」の原因はほとんどがウィルスで、その原因ウィルスの半数近くがライノウィルスであると言われます。
ライノウィルスはほとんどが鼻腔や咽喉頭など上気道に感染して、のどや鼻の炎症による症状が見られます。一般に症状は軽く、特別な治療をしなくても自然に治ります。しかしライノウィルスには100以上の血清型がありますから、抵抗力の少ない小児では何度も罹ることが珍しくありません。
ライノウィルスの潜伏期間は1~3日で、発病すると、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、咳、発熱などの症状が見られます。熱は出ても高熱になることは少なく、多くは治療を必要とせずに数日で治ります。
ライノウィルスは春と秋に多く見られます。健康な乳幼児が罹れば軽いかぜ症状で終わりますが、基礎疾患のある子どもや抵抗力の弱い子どもでは気管支炎や肺炎を起こすことがあります。気管支喘息の子どもが罹ると多くは喘息発作を誘発します。春や秋に喘息症状が多く見られるのは本ウィルスの感染が引き金になっていることあり注意が必要です。