徳島が生産量日本一を誇る菌床シイタケの廃棄部分から、血圧や血中コレステロール値を下げる有用成分エリタデニンを抽出して精製し、高純度の粉末にすることに成功。徳島ビジネスチャレンジメッセで、徳島発の新ビジネスとして期待されるニュービジネス支援賞の大賞に選ばれた。「社風であるチャレンジ精神が実を結んだ」と喜ぶ。

 エリタデニンの研究は、シイタケから軸などの廃棄部分が多く出ることを知った創業者の藤崎稔氏が「地域貢献のためにも有効利用できないか」と思ったのがきっかけ。社内で唯一、博士(農学)の称号を持っていたこともあり、3年前の入社早々から研究を任された。

 しかし、本業の電機機械製造から外れているため、研究室は倉庫に使っていたテント小屋で、必要な設備もない状況。そんな中、3月に機器がそろってからは不思議なほどスムーズに進展した。液体を微細な粉末にする社独自の技術や知見が生きたという。

 エリタデニンは、化学合成された研究試薬が1グラム換算で100万~400万円で販売されるなど貴重な成分として知られる。シイタケを原料に商品化した例はなく、「ペットフードや機能性表示食品の素材として食品メーカーに販売したい」。1年程度で事業化に道筋を付けることを目指し、挑戦は続く。

 熊本県出身。高知大大学院博士課程在籍中にインターンシップとして3カ月間研修し、取り組んだ竹活性炭の研究を続けようと、入社した。来年2月に結婚を控えており、同僚でもある婚約者と大賞を喜んだ。阿南市富岡町。32歳。