インターンシップの内容について話し合う協議会のメンバー=阿南市富岡町の阿南商工会議所

 船乗りの現場をのぞいてみませんか―。徳島県阿南市内の内航海運業者などでつくる「ふなどころ阿南まちづくり協議会」が今月23日、愛媛県今治市の造船会社でインターンシップを初めて行う。国の許可がないと普段は入れない貨物船に乗ってもらうなどして船員の仕事をアピールし、人材を確保するのが狙い。
 
 協議会によると、阿南市内の内航海運業者は、那賀川流域の木材業の衰退などを背景に減少。船員らも出航すると自宅に長期間戻れないことがあり、就職活動の際、若者に敬遠される傾向にある。このため、業者は従業員の多くを市外から受け入れるなど、船員確保に頭を悩ませているのが実情だ。

 こうした現状に危機感を強めた業者や行政など55団体が、昨年4月に協議会を設立し、船員不足の解消に向けた方策を話し合った。四国運輸局などの協力を得てインターンシップが決まり、初回は徳島科学技術高校に参加を呼び掛けた。

 23日のインターンシップには、同校の2年生5人が参加して、今治市の造船会社「山中造船」で行う。同造船が阿南市の海運会社・光晴汽船から発注を受けて製造したセメント運搬船に乗り込み、運転席やエンジンルームなどを見学する予定。

 協議会はほかに、阿南市の海運の歴史や船員の仕事などを紹介するパンフレットを2千部作成した。県内の小中高などに配り、インターンシップへの参加を呼び掛ける。

 インターンシップを企画した光晴汽船の横手光晴専務(48)=同市中林町長尾=は「多くの若者に船乗りの仕事について知ってもらう環境を整えたい」と話している。