【ドッジボール】板東ビクトリー
「声出していこー!」「元気出していこー!」。外の暗さも寒さも吹き飛ばすような子どもたちのハツラツとした掛け声が、夜の体育館に響き渡る。こちらは「板東ビクトリー」の練習のひとコマ。J.D.B.A(日本ドッジボール協会)が定めた公式ルールに則る競技ドッジボールの小学生チームとして1995年に結成。現在のメンバーは小学1年生から6年生まで約30名で、鳴門市、藍住町、北島町、板野町の小学校から集まる。
指揮を執るのは別宮輝彦さん(44・藍住町出身)。11年前に長女が入団したことをきっかけに競技ドッジボールの世界にのめり込み、3人の子どもたちの卒団後も監督としてチームに携わる。「今年のチームの長所は、元気があって仲間を信じられるところ。でもその分、やや闘争心に欠けているかもしれません」。コート外では笑顔で冗談を飛ばす別宮さん。試合を想定した練習では表情が一変、あえて強めの語気で一人ひとりに声をかけ、メンバーの心に火をつける。
もう一人、コートで存在感を見せていたのが代表の中川佳久さん(52・愛媛県出身)。子どもたちからは「親方」と呼ばれている。「競技ドッジボールは、実は頭脳のスポーツ。ただ速い球を投げればいいというわけではなく、高い戦略性が求められる。だから身体能力や体格に関係なく、低学年の小さい子でもヒーローになれるのが魅力なんです」。
練習中、ある男の子が取り逃したボールが、付き添いの保護者のもとに飛んだ。サッとボールを受け取る彼。中川さんはその一瞬を見逃さなかった。「取ってもらったらなんて言うん?」。目線の高さを合わせ、お礼の挨拶を促す。「ドッジボールの技術よりも、元気よく明るく挨拶をするとか、きちんとお礼を言うとか、そういうことをここで身につけてほしいんです」。監督の別宮さんも「人の目を見て話を聞く、大きな声で返事をする、返事をしたら行動に移す、この3つが団に代々伝わる決まりごと。どこに行っても役立つ大事なことだと思います」と話す。
現在の6年生は4人とも板東小に通う。川原愛鈴さんは学年唯一のアタッカー。「きちんと決めたところにアタックが打てるよう、練習からしっかり意識したい」と目標を話す。「相手のアタックを取る、取らないの判断を確実にしたい」と口を揃えるのは、守備の近藤佑樹さんと井上詩媛さん。競技ドッジボールでは瞬時の判断力が鍵になるという。6年生は小学校卒業とともに卒団を迎える。最後の公式試合である県大会は2月5日。守備の和田悠翔さんは「残り少ない中でも、何をすべきか考えながら練習して少しでも成長したい」と意気込む。「いい結果を残したい」という想いは4人とも同じ。気持ちを一つに、県大会の舞台に挑む。
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見学、体験希望者はInstagram(@bando_victory)のメッセージから連絡を。
場所=板東小学校 体育館(鳴門市大麻町板東宝蔵60)
日時=火曜19:00~21:00、金曜19:30~21:30、日曜17:00~19:30(試合の場合があり)