川面を埋める木材。徳島市内の河川の多くが貯木場として利用されていた=1967(昭和42)年、本社所蔵写真

川面を埋める木材。徳島市内の河川の多くが貯木場として利用されていた=1967(昭和42)年、本社所蔵写真

 半世紀前の徳島市を知る人なら、あちこちの川面にたくさんの木材が浮かんでいたのを覚えているだろう。写真は、助任川の水面貯木を1967(昭和42)年に撮影したものだ。

 川に浮かべる一番の理由は、重い木材の移動や選別がしやすいということ。国産材に加えて輸入材が増える中、入港した運搬船から木を海に落とし、そのまま水面貯木場へと運んでいた。製材所の多くが川沿いにあるのはそのためだ。

 当時は木を川に浮かべたまま、ゆっくりと乾燥させた。水面で乾燥とは意外だが、木は中心部と周辺部で収縮率に差があり、地上で乾燥させるとひびが入って建材には向かなかったという。

 水面貯木には問題もあった。台風などで木材が流出すれば近隣住宅地などに被害をもたらし、水中に沈んだ木の皮はヘドロ化して河川環境を悪化させた。

 原木ではなく産地で製材、加工したものを輸入した方が低コストになったこともあって、水面貯木は現在ほとんど見られなくなった。