徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 冬の到来とともにインフルエンザの流行が始まります。日本でインフルエンザは一部の地域を除いて12月から1月に流行し始め、2月頃に流行のピークを迎えることが一般的です。寒くて乾燥した季節に伝染しやすいと考えられます。

ヒトに流行するインフルエンザにはA型とB型があります。A型ウィルスの表面には赤血球凝集素HAとノイラミニダーゼNAと言う2種類の構造があり、HAには1~16、NAには1~9の亜型があり、この組み合わせによってウィルス型が決定されます。

HAやNAは毎年小規模の変異を繰り返して少しずつウィルスの形を変えて流行します。このような小変異を繰り返しているうちに数年から数十年単位で突然別の亜型に代わることがあります。これをパンデミックと呼びます。新しいウィルスに対しては、ほとんどの人が免疫を持ちませんから大流行となり被害が拡大します。これまでのパンデミックとしては1918年のスペインかぜ(H1N1)や1968年の香港かぜ(H3N2)などが知られています。

2009年にメキシコから流行し始めた新しいウィルス(H1N1)はそれまで流行の主役であったソ連型(H1N1)にとって代わり、毎年流行する季節性インフルエンザのひとつになっています。

 最近はこのパンデミック2009A型(H1N1)ウィルスと香港A型ウィルスに加えてB型インフルエンザが順番や割合を変えて流行しています。子どもや抵抗力の無い人がインフルエンザに罹ると重い合併症を起こすことがあります。十分な感染予防を心がけたいものです。