めん処 林商店
林美智代さん(62・阿波市出身)
神山町神領の細い路地で、藍色の暖簾が風に揺れる。昨年11月に開店したセルフうどん店だ。こちらを営むのは店主の林美智代さん。結婚を機に神山町へ移住し、町内の保育所で保育士として36年間勤めた。60歳で定年を迎える前から、「お店をしたい」という思いを温めてきた。「誰しもが入りやすい食事処を作りたいなと思っていたんです。子どもからお年寄りまで食べやすいうどん屋さんにしようと決めました」。
元々この場所は、夫の両親が営んでいた街の商店だった。「せっかくだしここを活かしたいなと思って、屋号はそのまま使わせてもらっています」。内装は左右内製材(神山町)に依頼してフルリノベーション。天井や床、壁の腰板に至るまで神山杉をふんだんに使い、和モダンな雰囲気を漂わせる。「みんなが憩えるうどん屋さんしたかった」との言葉通り、木の温かみに包まれるようなほっとする空間だ。
うどんメニューはかけうどん(小250円、中300円、大390円)のみ。たっぷりの鰹節からとったかけ出汁は、香りが立ちすっきりと旨味が残る後口に。そこに、国産の小麦粉を使って手打ちしたもちもちの細麺がたゆたう。出汁や麺の作り方は独力で身につけた。かつてうどん屋さんで働いた経験のある妹や息子からのアドバイスと、動画投稿サイトのレシピを参考に、林さんなりに工夫を凝らして試作を重ねてきた。
見逃せないのが多彩なサイドメニュー。春菊(100円)、かきあげ(100円)、いか(150円)といった天ぷらから、鶏の唐揚げ(70円)や揚げギョーザ(50円)のようなおかずまで20種ほどがずらりと並ぶ。さらに、自家製のいなりずし(80円)やおにぎり(100円)、おでん各種(100円~)も揃い、どれにしようか迷うこと必至だ。その時々で変わる小鉢も好評で、取材日は高野豆腐の卵とじ(100円)やポテトサラダ(100円)などが登場した。「うどんと一緒に、必ず天ぷらやおにぎりを注文してくれますよ。(サイドメニューを)いっぱい食べたいから、うどんは小にする人もちらほらいます」と目尻を下げる。
店が落ちついたら新メニュー作りに着手したいと林さん。「あんかけやカレーとか、あったかいうどんをしたいなと考え中です」と意欲を燃やす。
めん処 林商店
徳島県神山町神領西青井夫27-4
営業時間=11:00~14:00
定休日=月曜、木曜休
駐車場:あり
多機能トイレ:なし
Wi-Fi:なし
完全個室:なし
座敷席:なし
開店:2022年11月1日