東京・有楽町の東京交通会館内に今月オープンした徳島県の移住相談センターで、総合案内役の「移住コンシェルジュ」を務める。「相談を受ける際は積極的に阿波弁を使うなどしながら、徳島を身近に感じてもらえるよう頑張りたい」と意気込む。

 もとより、住み慣れた場所を離れての移住は不安なものだ。それ故、コンシェルジュには「移住を希望する人の思いに寄り添う姿勢が欠かせない」と力を込め、「インターネット検索では見えてこない地域密着の情報をきめ細かく提供し、安心・納得した上で徳島への移住を後押しできればうれしいですね」

 古里を離れて16年余りが過ぎた。都会での生活が長くなるにつれ、徳島の豊かな自然や人々の温かさを、より一層感じるようになった。

 そんな東京暮らしで残念に思っていたのが、徳島の知名度の低さだ。葉っぱビジネスで知られる上勝町の取り組みや最先端のLED製品などを例に挙げながら、「素晴らしい特産品や技術があるのに、全国的にはまだまだ浸透していません。スダチでさえ、カボスに間違われているのが実情です」。そうした中、県が移住コンシェルジュを募集していることを知り、「徳島を応援する仕事がしたい」とアピールした。

 首都圏から徳島への移住者を増やし、懸案の地方創生を実現する上で、コンシェルジュにかかる期待は大きい。

 「若者、子育て世代、高齢者と、世代によって移住の目的はさまざま。そうした人たちを一人でも多く招き入れるには、県や市町村の支援制度も決め手になるでしょう。高齢者に生きがいづくりの場を幅広く提供することも大切ですね」と話し、「受け入れ体制をしっかりと整えてもらえれば、全力で徳島を発信していきたい」。

 さいとう・まゆみ 阿南市出身。富岡西高校、武蔵野女子大(現武蔵野大)現代社会学部卒。社会福祉法人「東京光の家」で視覚障害者らの日常生活をサポートする生活支援員を経て、12月1日から徳島県移住コンシェルジュ。東京都国立市在住。35歳。