上勝町正木地区を桜の名所にしようと、地域住民でつくる「彩公園を美しくする会」が20年以上前から桜の植樹や草刈りを続けている。これまで公園に200本を超える桜を植え、口コミで人気が広まって見物客が毎年増えている。今季も3月下旬~4月上旬が見頃。公園は町診療所の周辺に広がり、診療所のヘリポート付近から見下ろす絶景スポットで写真撮影したり、診療所前のあずまやで花見を楽しんだりできる。
町診療所ができた1999年ごろは山を切り開いて周辺を整備したため、公園とは名ばかりの荒れ地だった。この状況を見た数人の住民が、景観をよくしようと竹や雑草などを刈って少しずつ桜を植樹したのが活動の始まりだ。整備する範囲を広げるため幅広く協力を呼び掛け、翌年に約80人で会を結成した。
その後、数年かけて、診療所に向かう坂道の両脇や診療所前の斜面などにソメイヨシノとシダレザクラの植樹を続けた。高石雅弘会長(63)は「桜を植えてから約20年が経過して見応えは十分。ぜひ見に来てほしい」と呼び掛けている。
現在は会員50人ほどが約30アールの公園を管理している。活動は草刈りや肥料の散布などが中心。数年おきに植樹も行い、昨年は約20本を植えた。活動資金は町から支給され、苗木や肥料の購入、草刈り機の燃料費などに充てている。
会員の平均年齢は60代で、活動の継続に向けた課題は高齢化だ。急斜面で草刈りする機会が多く、体力的な負担から活動に参加できなくなる人がいるという。清田吉朗副会長(72)は「多くの人が桜を見に来てくれるとうれしい。若手の確保を進め、できる限り取り組みを続けるつもりだ」と語った。