徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
インフルエンザは成人では突然の高熱で始まり、咽頭痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感など強い全身症状が見られます。2~3日で解熱しますが、その頃から咳や鼻水などの呼吸器症状が目立ってきます。全身症状が完全に回復するには1~2週間かかります。乳幼児では高熱による熱性けいれん、気管支炎や脱水症で入院することがあります。
インフルエンザの合併症のひとつに肺炎があります。この肺炎には3つのタイプがあります。ウ
ィルスが直接肺胞に炎症を起こすウィルス性肺炎、ウィルスに細菌感染が合併して起こる混合性肺炎、インフルエンザが治った後に二次的な細菌感染が起こる細菌性肺炎の3つです。乳幼児や老人は抵抗力が弱くインフルエンザのために呼吸機能も弱っていますから肺炎を起こしやすいと考えられます。
インフルエンザの病状は呼吸器症状だけでなく、全身状態への影響や合併症の有無、随伴症状、細菌感染の合併、基礎疾患の悪化などが重症化の要因と考えられます。
特に乳幼児では体力の余裕がありませんから高熱によって水分や栄養の摂取が少なくなると脱水症を起こしやすいものです。またインフルエンザウィルスで障害を受けた呼吸器系粘膜からは細菌が侵入しやすく細菌感染を起こしやすくなっています。
また乳幼児では高熱に伴う熱性けいれんが発生することがあります。高熱に伴う熱せん妄と呼ばれる意識障害はインフルエンザ脳症との鑑別が問題になります。
最近はインフルエンザに対する薬もありますが最も大切なことは予防です。うがい、手洗い、マスクの着用などは予防の基本です。