【質問】 4月から新社会人です。仕事以外にも心配事があります。給料のやりくりについてです。毎月の家賃や食費はもちろん、電話代や光熱費など、今までほとんどを親に頼っていましたが、経済的に自立しなければなりません。将来に備えた貯金も必要だと思います。でも、せっかく自分で稼げるようになったのだから、遊びや趣味にもお金を使いたいのが本音。どうやりくりしたらいいでしょうか?
徳島新聞デジタル「あなたとともに Under30」にこんな質問が届きました。毎月の仕送りやバイト代に頼っていた学生時代と比べ、これからは手にする金額が大幅に増えます。好きなものを買ったり、旅行に出掛けたりと、使途の自由度が広がる一方で、社会人としてしっかりとした生活設計が求められるのも事実です。
「自分のお金の使い方に責任を持ちましょう。貯金のこつは・・・」。ん? 天の声が聞こえてきましたよ。四国大短期大学部ビジネス・コミュニケーション科教授で、ファイナンシャルプランナーの加渡いづみさんにいろいろとアドバイスをもらいました。やりくりのシミュレーションもあります。(デジタル報道部・矢田諭史)
まず覚えてほしいのが給料の「総額」と「手取り」は違うということ。基本給や残業代、交通費、その他手当など会社から支払われる全てのお金が「総額」に当たり、そこから税金や社会保険料などが引かれたのが「手取り」となります。だから生活設計を立てるときは、手取りで考えないといけません。
住に30%、食に25%・・・
次に各支出の目安額を説明します。
アパートやマンションで1人暮らしをすると仮定すれば、住居費は手取りの30%程度。共益費や駐車場代も含まれているので、実質的な家賃は25%ほどでしょう。物件によって安く抑えることもできますが、その場合は防犯面に不安があったり、日当たりが悪かったり。生活の質が低下すれば、心身的な負担が増えて余計な出費があるかもしれません。
食費は一般的なエンゲル係数(家計の支出に対する食費の適切な割合)からみると、手取りの25%ほどです。健康面を考えると、無理に食費を削るのはやめた方がいいでしょう。たまにはお酒を飲んだり、外食したりして気分転換を図らなければ、仕事も生活も面白くなくなります。
住居費と食費は手取りの50~55%が目安になります。残りで通信費(電話代)や光熱費、遊興費、交通費(ガソリン代)、被服費(衣服代)などに充てるため、初任給では本当に余裕のない状況と言えるでしょう。
貯金のこつは「癖付け」
将来に備え、貯蓄もしていきたいところです。目安は手取りの5~10%。毎月5万円など、初任給で大きな額は難しいと思いますが、必ず決まった額の貯金を毎月続けて「癖付ける」ことが大切です。1カ月1万円でも1年間で12万円。専用の口座を作るのもお勧めです。
私の体験を話します。若手時代、専用口座を開設して貯金をしていましたが、その口座のキャッシュカードは作りませんでした。下ろすには通帳を持って平日の午後3時までに金融機関の窓口に行かなければならない状況にあえてしていました。「昼間は仕事があるし、面倒くさい」という理由で、安易に専用口座に手を付けるのを控えていました。貯金は一晩寝れば増えるものではありません。こつこつ、です。
お金は使い方によって、幸せにも不幸にもなる
お金のやりくりは人のまねをしても同じ成果になるのは難しく、はっきりとした正解はないでしょう。「欲しいもの」と「必要なもの」、「したいこと」と「しなければならないこと」を、毎月手にするお金の範囲内でよく考え、自分の財布の大きさを知ることが大切。そして、友人や知人の間で貸し借りはやめましょう。トラブルの元になります。社会人としてお金の使い方に責任を持つことです。
確かに「節約、節約」というのも気疲れします。親にプレゼントを買ったり、友達や恋人と遊んだりするのもいいでしょう。その際は「計画的に」「いい格好はしない」ということを忘れないように。自分が稼いだお金は、自分が幸せになるためのものです。ただ、下手をすればどん底に落とされることも覚えておいてください。
初任給で自由にできるお金は5万円未満?
せっかくなので、やりくりの簡単なシミュレーションをしてみました…
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