徳島県内の木偶作家らの作品を集めた「第11回現代の木偶展」(県文化振興財団、徳島新聞社など主催)が9日、徳島市のあわぎんホールで始まった。阿波人形浄瑠璃の振興に尽力した木偶作家板東米子さん=2021年死去=の生誕100年に当たることから、顕彰をテーマに掲げている。12日まで。入場無料。
板東さんが手掛けた8点のほか、阿波木偶作家協会会員や阿波木偶制作教室(振興財団主催)の受講生ら約50人が作った約130点を展示している。
板東さんの展示作品は、「傾城阿波の鳴門」のお弓とお鶴や、身の丈が2・5メートルにも及ぶ酒呑童子(しゅてんどうじ)など。親交のあった人らが訪れ、「人形浄瑠璃の生き字引のような人だった」などと思い出を語っていた。
板東さんは3代目天狗久に師事。県内の人形座に広く人形を貸し出したり、県教委主催の阿波人形浄瑠璃伝承教室で長年講師を務めたりするなど、人形浄瑠璃の発展に尽くした。阿波木偶作家協会副会長の吉田尚行さん(74)=徳島市北矢三町=は「板東さんの作品は一目でそれと分かる。作品の大半は女性。生涯、女性の内面を表現しようとしていたのではないか」と話した。
10日午前11時から午後2時まで追善公演があり、阿波人形浄瑠璃振興会の有志が「傾城阿波の鳴門」などを上演する。