国公立大学の2次試験前期が25日に迫った。入試当日、徳島県内の大学でも多くの受験生が筆記試験や面接に挑む。1月中旬の大学入学共通テストから前期入試までわずか1カ月程度、前期から後期入試まではさらに短い。合格者は最後の追い込み期間をどう乗り越え、大学への切符を手に入れたのか。2022年度に入学した本県出身の鳴門教育大1年生に、受験対策やモチベーションの保ち方などを聞いた。

算数科・数学科教育コース 薦田昂大さん(19) 前期合格

薦田昂大(こもだ・こうだい)さん

 前期受験で、筆記と面接がありました。数学の出題範囲は1Aだけですが、他大学でよく出るような問題とは出題の仕方というか、ものが違います。徳島大などは普通に問題を解く形ですが、鳴教大は数学の定義、例えばこの定義は何ですかとか、そういうことを問われるので結構特殊です。

 だから、どれだけ問題を解くかよりも、教科書を理解することに集中した方がいいと思います。いろんな大学の過去問を解くんじゃなくて、教科書に目を通したり、鳴教大の過去問を見たりした方がいい。僕は鳴教大の過去問を解いて、「これは他の問題をやっても全然意味がない」と実感しました。

 勉強のポイントと言うと、最初に公式とかの使い方を覚えることですかね。問題を解く時に「これをこうしたらできるかな」と道筋を立てるとか。道筋を立てるにしても、いろんな問題を経験して引き出しの量が多くしておかないと難しいと思います。とにかく道筋を立てる。「どういう公式が必要かな」とか「この問題ってどういうことを求められていると思うか」とか、こういう問題を出す意図みたいなものを考えるようにしていました。大学では定義とかそういう方を重要視している気がします。

 数学の面白い問題を見つけたときは「楽しいな」って思っていました。気分転換の勉強として、自分が解いていて好きだなと思える問題が一つくらいあったほうがいいと思います。

国語科教育コース 坂井ほのかさん(19) 前期合格

坂井ほのか(さかい・ほのか)さん

 国語科の試験は面接と小論文でした。小論文は過去問を見て書いて、高校の先生に添削してもらいました。私の場合は構成と、「問題が求めていることをちゃんと読めていない」と言われて、作成者の意図を読み取る練習みたいな感じで書いていましたね。自分の経験を混ぜた方がいいと言われて、ひたすら練習していました。

 あとは新書を読んでいましたね。自分で考える力とか、これからの教育はどんな形がいいか、みたいな内容の本を選んで、小論文の参考にしていました。

 面接対策は、学校に過去に受験した人たちから引き継いだ資料があるので、それを参考にしました。まず内容を自分で考えて、先生に直してもらうって感じですね。ただ、面接は自分の回答に関連して質問されるので、他の人の回答はあまり参考にならないんですよ。志望動機と長所、短所、なぜ国語科を選んだか、高校で頑張ったことはしっかり考えて面接に臨みました。あと、好きな本も考えてから行きました。

 準備した内容は最初バラバラだったんですけど、ある程度一貫性を持たせてまとまるようにしました。短所は慎重なところと言っているのに、長所が何にでも挑戦するところだと矛盾が生じるので、うそをつかないっていうのを軸にして考えました。

 3週間ほどで6人くらいに見てもらいましたが、今思えば1人か2人にした方がいいと思います。ある先生に「こういう志望理由にしなさい」って言われて変えたみたら、別の先生に「そんなんじゃ駄目」と言われて。好きな先生に決めてお願いした方がいいと思いました。

 2次試験を通して精神的に強くなれたと思うので、つらい時期を頑張れたら、この先も自信になると思います。友達や家族と励まし合って頑張ってください。

音楽科教育コース 加集菜月さん(19) 推薦合格

加集菜月(かしゅう・なつき)さん

 推薦で、面接と実技検査がありました。音楽の用語や専門知識が必要な楽典と、弾かれた音を楽譜に起こす旋律聴音、当日指定された曲を歌うコールユーブンゲン、あとは選択でホルンの演奏がありました。

 志望校は鳴教大に決めていましたが、どの学科にするかかなり迷いました。音楽科はいろんな実技があるので、高校1年から準備している子たちに交じって受験するのは難しいなと思って。一度は他の科にしましたが、高校の先生に何がしたいか聞かれて音楽だと思い、3年の夏ぐらいに音楽科に決めてからホルンや歌を習い始めました。

 共通テストが終わって推薦の試験日まで10日間ぐらい。推薦を受けた後は、2次対策で学校の先生にもお願いして、授業の空き時間に指導してもらいました。やっぱり自分の勉強だけじゃ分からないところもあるし、実技系は回数を重ねてなんぼなところがあるので。聴音だとどれだけいろんな音楽やメロディーを聞いて対応できるか回数が必要なので、毎日やってもらっていました。

 私の高校からはこれまで鳴教大の音楽科に行った人が1人しかいませんでした。なので、その人の資料と大手学習塾が出している受験情報などを見て、過去に何を聞かれているか全部書き出して、答えを準備しました。志望理由となぜ音楽科なのか、なぜ学校教育に音楽が必要なのかなどの質問の回答を考えていました。

 やっぱり大学に入ったら楽しいし、自分の時間が持ててやりたいことができる。最後の追い込みを乗り切って合格し、ぜひ学校で自分のやりたいことを実現してほしいですね。