女子受験者や3浪以上の男子に対して合格者数を抑える得点操作が行われていた。あきれるばかりだ。

 文部科学省の私大支援事業を巡る汚職事件に揺れる東京医科大の不正入試の一端が、内部調査報告書で分かった。

 判明したのは、今年と昨年に実施した医学部医学科の入試の2次試験だ。具体的なマニュアルが学内で作られ、担当者の間で引き継がれていたとみられる。

 受験生に対する公平性や平等性を著しく欠く行為で、到底許されるものではない。不正によって不合格となった受験生の怒りは収まるまい。

 文科省前局長の佐野太被告の息子に加算した経緯などをまとめた報告書によると、400点満点だった今年の入試の1次試験で、佐野被告の息子を含む6人には最大49点を加算した。2次試験の小論文では受験生全員に「0・8」を掛ける得点操作をしていたという。

 男子は、減点後に現役と1~2浪生に一律20点、3浪生には10点を加算した。女子と4浪以上の男子には点を加えず、得点を抑えていた。

 2次試験の小論文では、少なくとも2006年度入試から繰り返されていたという。「女性差別以外の何物でもない」のは明らかで、浪人生の男子について「受験生への背信行為だ」と断じたのも当然だろう。

 昨年の入試の1次試験では13人に対して、それぞれ8点から45点が加えられていたことも分かった。

 報告書では、東京医大前理事長の臼井正彦被告と前学長の鈴木衛被告が主導し、動機について「同窓生の子弟を入学させ、寄付金を多く集めたいとの思いがあった」と指摘した。2人が受験生の親から個人的に謝礼をもらうこともあったようだと記している。言語道断である。

 報告書はさらに不正の最も大きな原因に関して、2人の「規範意識の鈍麻」と断じ、東京医大に対して「ガバナンス体制が全く機能していなかった」とした。厳しく反省しなければならない。

 医学科では以前から、女子の割合が高まることを懸念する意見があった。

 女性は結婚や出産を機に、職場を離れるケースが多くなる。このため、女子合格者を全体の3割前後に抑え、系列病院の医師不足を回避する目的があったとされる。

 ならば、女性医師が働き続けられる環境づくりを進めることが大切だろう。100年以上の歴史のある東京医大が、先駆的に取り組むべき課題ではないか。

 東京医大は、報告書が言及したように「あしき慣行」を断ち切らなければならない。体制の抜本的な見直しも急ぐべきだ。

 文科省は、報告内容が限定的として、引き続きの調査と不利益を受けた受験生への対応などを速やかに実施するよう求めている。徹底した解明が必要だ。