3年半ぶりに徳島公演をする加藤登紀子さん

3年半ぶりに徳島公演をする加藤登紀子さん

アルバム「果てなき大地の上に」のCDジャケット

アルバム「果てなき大地の上に」のCDジャケット

 歌手加藤登紀子さん(79)が3月、阿南市と阿波市でコンサート「果てなき大地の上に」(阿南市文化会館、徳島新聞社など主催)を開く。徳島公演は3年半ぶり。2022年、リリースしたアルバム収録曲を中心に歌い、戦火の中、ウクライナで故郷を追われた人への支援を呼び掛ける。

 コンサート名は、ニューアルバムと同じタイトル「果てなき大地の上に」。

 加藤さんは日中国交正常化50周年の22年、中国の画家王希奇さんの描いた「一九四六」に衝撃を受けて、歌詞を作り始めた。満州に残留した数百万人の日本人の引き揚げが始まり、葫蘆島から日本に向かう船に乗り込む群衆が描かれている。加藤さん自身、1943年、満州のハルビンで生まれ、46年に同じルートで引き揚げて来た経験を持つ。2歳8カ月の時だ。

 製作中、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。「私自身の戦争への思いを、ウクライナの被災した人たちに、今、子どもを連れて難民状態になっている人たちに贈りたい。そんな気持ちを重ね、詞と曲を完成させた」と加藤さん。

 何のための戦争だったか、どれほど人が傷ついたかと問い掛け「No War! No! Forever!」と力強く反戦を歌う。

 「ウクライナの戦争が、1年たっても終わっていないことに心が痛む。平和への心からのメッセージをコンサートで伝えたい」

 アルバムに収録したジョン・レノンの「イマジン」も歌う。ベトナム戦争の反戦歌として有名な「花はどこへ行った」は、加藤さんの新訳が披露される。

 もちろん「百万本のバラ」「この空を飛べたら」などのおなじみのヒット曲も熱唱。22年の北海道・知床沖の観光船事故の犠牲者を悼み、「知床旅情」も新しいアレンジで歌う予定だ。

 「私と同世代の人にも若い人にも聞いてもらいたい。徳島には友人も多く、なじみのある土地なので、今から徳島公演が楽しみ」。

【動画】https://youtu.be/PvSt9s3hndU

 3月11日は阿南市文化会館夢ホール、12日は阿波市交流防災拠点施設アエルワホール。いずれも午後3時半から。S席6千円(当日500円増)、A席は完売。問い合わせは徳島新聞社事業部、電話088(655)7331。