山橋さんのうちわを持って練習するハーネス連の長池篤史さん(右)ら=徳島文理大

 徳島市の阿波踊りが開幕する8月12日、県内外の視覚障害者やボランティアでつくる「ハーネス連」が今年も演舞場に踊り込む。2015年10月、バックしてきたトラックにひかれて亡くなった視覚障害者の山橋衛二さん=当時(50)=と盲導犬ヴァルデスを追悼し、乱舞を披露しながら事故の再発防止を訴える。

 ハーネス連は01年に「視覚障害者でも楽しめる連をつくりたい」との山橋さんの提案で結成された。16年夏からは山橋さんの死を悼みながら踊りに参加している。12日は午後7時ごろから両連のメンバー約140人と盲導犬5匹が、市役所前演舞場と両国演舞場に繰り出す。

 山橋さんの踊りをサポートしていたボランティアの長池美香さん(52)と息子の篤史さん(27)が、山橋さんの定位置だった最前列左に陣取り「山橋さんと一緒に踊っている気持ちで踊る」という。

 篤史さんは山橋さんとヴァルデスの似顔絵が描かれたうちわを持ち、連員はヴァルデズをイメージして作ったマスコットを腰に付ける。

 7日夜には同市の徳島文理大に連員約20人が集まった。演舞場で一緒に踊る同大学連の約40人と合同練習を行い、踊りの立ち位置や足さばきを入念に確認した。

 竹内安彦連長は「山橋さんの事故を風化させてはならない。ハーネス連の踊りを見て事故を思い出し、車の運転に気を付けようと思ってもらえたらうれしい」と話した。