1957(昭和32)年、徳島市の眉山にできた眉山ロープウェイを、開通式当日の12月1日に撮影したものだ。ロープウェイ駅の画面左側、テントとアドバルーンがある所が開通式の会場だった。大きなビルがなく、天神社の境内が見える。
眉山の山肌に注目すると、戦災で燃え、戦後にまきとして切られた木がずいぶん回復している。それでも今よりかなり低く、中腹を通る道路が見通せる。当然、山上からの視界も開けていた。
ロープウェイは山岳地の多い日本では戦前から産業用に敷設されていた。県内では大正期に三好市井川町から東祖谷を結ぶ材木輸送のためのロープウェイが造られた。四国山地に点在した鉱山でも鉱石輸送のためにかなりの数が設けられている。旅客輸送は行わなかったが、山間地への物資を運ぶ輸送ルートして使われることもあったようだ。
旅客輸送を専門に行うロープウェイが相次いで開業したのは戦後の50年代以降。観光ブームに乗り、名勝と呼ばれる山で次々と開業した。眉山ロープウェイもその一つだった。