2021年11月に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんは、生まれ故郷の徳島を第1の古里、出家後、半世紀近く暮らした京都を第2の古里と呼んだ。1987年に住職となった天台寺がある岩手県は、第3の古里だった。「愛ことば いわて天台寺青空法話」(岩手日報社、1320円)は、98年6~11月の法話を、音源に忠実にまとめて書籍化した。優しさとユーモアに満ちた寂聴さんの言葉が生き生きとよみがえってくる。

 法話を聞いて「面白かったぁ、楽しかったぁって気持ちで帰りますとね、昨日よりも、もっと優しくできるんです。これはとても大事なことですよ」