技能教習を受ける渡辺さん(左)=徳島市の千松自動車教習所

 就職や大学進学など新生活に向け、徳島県内の自動車教習所では卒業を控えた高校生の姿が目立っている。各教習所は高校生の進路が決まり始める11月ごろから受講者が増え、例年2~3月が最も混み合う。ただ、近年は運転免許を取得する若者の割合が減少しているという。免許取得について高校生らに話を聞いた。

 城北高3年の渡辺憲次さん(18)は昨年12月から徳島市の千松自動車教習所に通っている。徳島県警に採用が決まっており、「仕事で必要だから。日常生活の足としても車は欠かせないと思う」と語る。四国大(徳島市)に進学を予定する徳島商業高3年の元木真歩さん(18)も「通学とか県内で生活していく上で車が必要」と話した。

 県内で就職、進学を予定している生徒には、仕事や通勤・通学、生活の移動手段として車を必要としているケースが多かった。県外に進学する生徒からも「車を運転する予定はないけれど、身分証明書として便利なので取得する」といった声が聞かれた。

 一方、高校生の免許取得を巡る環境や意識には変化があるようだ。千松自動車教習所の阿部敏博専務取締役(60)は「教習所に来る高校生は年々減少しているように感じる」と言う。

県内の16~19歳の免許取得人口と保有割合のグラフ

 

 県警運転免許課によると運転免許(二輪などを含む)を持つ県内の16~19歳は2022年で6177人。12年より2202人少なくなっている。少子化で若年人口が減っているのに加え、保有者の割合も減少傾向にあり、同年齢全体のうち22年は26・4%と、12年と比べて2・5ポイント少なくなった。07年比では7・6ポイント減っている。

 では、免許を取る予定がない高校生はどういった理由からなのか。

 城東高3年の吉中宰史(さいじ)さん(18)は「大学受験が忙しく教習所に通う時間がない」、同高3年で金沢工業大(石川県)に進学予定の井上敬太さん(18)は「教習所が混雑して講習の予約を取るのが難しそうだったので諦めた。たちまち必要ではないので、大学在学中に取得できればと考えている」と話した。

 県内の高校を22年春に卒業した生徒の4年制大学進学率は12年比8・8ポイント増の53・7%で過去最高を更新している。高校在学中の免許取得が減っていることには進学者の増加も関係していそうだ。

 「進学先は交通網が発達しているので免許の必要性を感じない」と話すのは専門学校「HAL東京」(東京)に進む徳島北高3年の豊田翔琉(かける)さん(18)。その上で「将来は都市部での就職を考えており、車の購入や維持の費用を考えると今後も免許が必要だと思わないだろう」と語った。

 都市部を生活の拠点にするため車が必要ないとの声があるほか、経済的な余裕がないことから取得を諦める人もいる。

 千松自動車教習所の阿部専務取締役は「スマートフォンが普及するなど娯楽が増えているほか、物価が高騰し、自動車も半導体不足などで購入するのが難しくなってきていることも、若者の車への関心を下げる要因になっているのではないか」と推測している。(鈴江宗一郎)