ロシアの侵攻が続くウクライナで子どもたちの心のケアに取り組む徳島市の中條秀人さん(42)が、同国東部のドニプロ市に支援交流施設「ウスミシュカ(ウクライナ語で「笑顔」)ハウス」を建てる準備を進めている。同市は激戦地の東部ドネツク州やルハンシク州などからの避難者が多いため、同市を拠点にして避難した子どものサポートに当たるのが目的。4、5月をめどに開設したい考えで、施設の建設や運営に充てる支援金を募っている。
ウスミシュカ・ハウスは、中條さんが支援活動を通じて知り合った地元有志とともに整備している障害者向け避難施設の隣に開設する。プレハブで遊具も置き、施設を利用する子どもや疎開してきた子どもらの知育と健康指導のほか、日本文化の体験の場としても活用する。
中條さんは人気ゲームのキャラクター「ピカチュウ」の黄色いパーカーと青く染めた頭髪の「ウクライナカラー」をトレードマークに、2022年5月から同国内の避難施設や病院への支援を開始。故郷を追われた子どもや戦災孤児、障害児らにおもちゃを届けたり遊び相手になったりしながら、傷ついた子どもたちの心と体をケアする枠組みづくりを模索している。
12月下旬から23年1月上旬までの年越し期間中、日本の支援者から募った寄付金を活用し、ドニプロ市内の美術館でクリスマスイベント「ウスミシュカ・ポイント」を開いた。避難施設の子ども200人以上が訪れ、中條さんと体操したり、プレゼントを受け取ったりして戦争の不安を感じずに済む時間を過ごしたという。
ウスミシュカ・ハウスはイベントの経験を生かし、今後も子どもをサポートする拠点として常設化。戦争が終わり故郷に帰れるようになるまで運営する。
300万円以上を目標に寄付を募り、建設のほか提供する物品の購入費、イベント開催費、光熱水費などに充てる。中條さんは「ドニプロに常設の拠点をつくることで、避難してくる多くの子どもたちを笑顔にしたい」と話し、協力を呼び掛けている。
中條さんは22年秋にもウクライナの電力不足を受けて寄付を募り、日本全国から寄せられた支援金212万円で、子ども用防寒グッズや太陽光発電パネルなどをミコライウ州やヘルソン州の避難施設に配る越冬支援キャラバンを展開した。
寄付は、中條さんを支援する一般社団法人ウスミシュカ(高松市)のホームページ<https://usmishka.jp/>からクレジットカードなどを利用して振り込む。1口3千円から。